ECRSとは業務改善を行うにあたって行うべき4つの行動の頭文字を重要度の高いものから並べたものです。生産のプロセスにおいてそれぞれECRSの順番で検討します。
- E:排除(Eliminate)
- C:結合(Combine)
- R:交換(Rearrange)
- S:簡素化(Simplify)
ECRSを実現することで、生産性の向上とQCDの改善が期待できます。特にクリエイターの場合は制作や作業に必要な時間がそのまま費用となります。作業効率を改善することは利益の向上につながりますし、対応できる案件の数の増加にもつながります。
排除(Eliminate)
プロセスそのものをなくしてしまえば、その分の作業工数が削減されますので、まず最初になくせないかということを検討します。ECRSの中で最も効果が大きいといえます。主に付加価値の提供、向上につながらない作業や活動が排除の対象です。
打ち合わせのためにクライアントを何度も訪問するといったこと、再利用するために過去のデータを探す時間といったようなことはないでしょうか。前者であれば各種コミュニケーションツールを活用することで移動時間をなくす、後者はデータの整理整頓を行うといったことで、排除することができます。
結合(Combine)
複数の工程、業務を同時にできないかを検討します。類似の作業や、共通の作業であればまとめてやった方が早く完了します。
文字校正や表示価格に間違いがないかのチェックは非常に重要ですが、間違いがなくて当たり前ですので、間違いがないこと自体は付加価値につながっていません。そのため、可能であればまとめて最後に行うことで正確性を担保しながら時間の短縮を図るといった考え方です。
交換(Rearrange)
作業の順序、作業担当者、作業の時間などを入れ替えることで効率化できないかを検討します。
排除、結合と比べると作業時間が短縮されるイメージが湧きづらいと思われますので例を挙げて説明します。
ステーキ用の肉が3枚あり、片面を焼くのに30秒かかるとします。ステーキ用の肉を同時に2枚焼けるフライパンがあります。このフライパンを使って可能な限り効率的に3枚の肉を焼くとします。
肉Aと肉Bをフライパンで片面を焼き、ひっくり返してもう片面を焼くと、この時点で60秒経過しています。それらを取り出し肉Cを同じように両面を焼くと60秒かかるために3枚の肉を焼くのに120秒かかっています。
最初に肉Aと肉Bの片面を焼き、次に肉Aのもう片面と肉Cを焼き、最後に肉Bと肉Cの残った面を焼くと、90秒で全ての肉を焼くことができます。
このように作業全体を再設計し直すことで、全体の作業が改善される可能性があります。
簡素化(Simplify)
文字通り、作業をもっと簡素にできないかという点を検討します。
複雑で時間がかかるものを簡素化することで、より早く、より正確に行えるようになります。
理解度Check
以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?
ECRSを行う際は、全ての視点を同時に検討する。
- ×不正解
- ECRSは改善の効果が高いと考えられるE(排除)⇒C(結合)⇒R(交換)⇒S(簡素化)の順番で検討します。