どのセグメントに対して商品・サービスを提供するかを選択します。通常は「○○県内の売上規模1~5億円程度の中小製造業」のように、通常は複数のセグメンテーションの基準を組み合わせて選択します。
絞れば絞るほど、より刺さる商品・サービスやプロモーションを行うことができますが、市場は小さくなります。広げれば広げるほど市場は大きくなりますが、最大公約数的な商品・サービスにならざるを得ないばかりか、市場の大きさに見合った経営資源を必要とします。
ターゲティング設定の条件
ターゲティングを行うに当たっては、特に以下の6点を考慮する必要があります。
- 市場規模
- 成長性
- 競合
- 到達可能性
- 優先順位
- 測定可能性
市場規模
セグメントの大きさは顧客の数、競合の数と大きさ、各顧客へのアプローチの容易さ、販売促進費といったことに影響を与えます。
セグメントが大きくなればなるほど顧客の数は増えますが、その分競合も増えます。顧客の数が増えるために、セグメント内の各顧客へのアプローチも弱くなります。逆にセグメントが小さいと顧客数が減りますが、競合も減ります。したがって、セグメント内の各顧客へのアプローチが強くなりやすく、販促費も抑えやすい傾向にあります。
規模が大きければ良いということではなく、事業目標や事業規模に合わせた規模を選択するべきです。
成長性
現在の市場規模も重要ですが、同じようにそのセグメントの今後も重要です。市場の勃興初期段階から参入できれば市場規模の拡大に伴って売上の拡大も見込めますが、環境の変化も激しくなるので先が読みにくい市場といえます。衰退市場だと十分な売上が確保できなくなるかもしれません。
しかし、成長が見込める市場であれば良いとは一概に言い切れません。成長市場は競合が多くなるため、競争環境は激しくなります。その結果、収益性が低い可能性も考えられます。
競合
魅力的な市場には当然ながら競合がいます。数と規模はどれぐらいか、またどのようなシェア争いをしているかで、参入のしやすさや、参入後の戦略が変わります。
巨大な競合が数社いるような状態で市場の趨勢は決まっているものの、大きな企業がアプローチできない隙間をどんどん狙っていける状態、同等の規模の競合がひしめき合っていて競争環境が激しい状態など、競合の状態は様々です。競合と差別化する余地があるか、隙間を狙っていけるのかといった、どのような戦略で収益を上げていくことが見込めるかが重要なポイントになります。
到達可能性
どれだけ市場の顧客にアプローチができるのかということです。営業のしやすさや付加価値を提供するためのチャネルを適切に設定できないと、いくら魅力的なセグメントであったとしても参入はできません。
優先順位
特定のセグメントにアプローチすることで口コミによる波及効果が期待できるなど、マーケティング活動が優位になるようなセグメントがあれば優先順位は高くなります。
測定可能性
アプローチしてそれっきりではなく、成果や効果を測定して活動内容にフィードバックしていかなくてはいけません。そのために顧客の反応や顧客満足度の測定が可能であるかどうかも重要なポイントです。
理解度Check
以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?
可能な限り収益性の高い市場に参入するべきであるため、セグメントを選択するかを決定する基準としては、市場の成長性が最もプライオリティが高い。
- ×不正解
- 特に成長性のプライオリティが高いという訳ではなく、他の要素も検討しなければいけません。また、成長性が高いセグメントは必然的に競争も激しくなるため、一概に収益性が高いとは言い切れないことを付け加えておきます。