戦略意思決定を行うためにはSWOT分析だけでは意味がありません。内部環境の強み・弱みと外部環境の機会・脅威から、自社の進むべき方向や効果的な選択肢を検討する必要があります。そのためのフレームワークがクロスSWOTです。
機会×強み、機会×弱み、脅威×強み、脅威×弱みのそれぞれを掛け合わせて方向性の検討を行います。大きな方向性は以下の通りです。
機会 | 脅威 | |
---|---|---|
強み | 強みを生かして機会をつかむ | 強みを生かして脅威を回避する |
弱み | 弱みを克服して機会をつかむ | 弱みと脅威を最小化する |
4つの方向性
4つの方向性を具体的にいうと以下の通りです。4つの方向性において、それぞれいくつ見いだせるかどうかは内部・外部の環境次第であるため、弱み×機会が何もないといったことはありえます。
また、4つの方向性のプライオリティは同じではありません。自社の業績に影響を与える時期の早さと影響の大きさからプライオリティを検討する必要があります。
強み×機会
自社の強みが生きる機会をつかみ、売上向上やシェア拡大などを図る積極的な戦略となります。自社の成長に直結するので基本的に1番プライオリティが高いといえます。
強み×脅威
自社の強みを生かして脅威を回避する、あるいは脅威による被害を最小化する受け身の戦略となります。
弱み×機会
せっかくの機会を逃さないように弱みの補強をを行う戦略です。弱みは簡単に補強・克服できないから弱みです。したがって、実践が難しく、また時間がかかるので、他のものよりもプライオリティは低くなる可能性があります。
弱み×脅威
事業からの撤退を含めて、脅威による損害を最小限に食い止めるための戦略です。実行が遅れるほど悪影響を受けかねないため、迅速に行うべきです。
理解度Check
以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?
中小事業者にとっては勝つ戦略より負けない戦略の方が成功の確度が高いため、クロスSWOTの4象限の内、弱みを克服して機会を掴む戦略が最もプライオリティが高い。
- ×不正解
- 基本的に弱みは簡単には克服できませんし、一番実効性が高く、成果が見込める強み×機会のプライオリティが最も高いのが一般的です。ちなみに、中小事業者にとっては勝つ戦略より負けない戦略の方が成功の確度が高いかどうかは一概に言い切れません。