ミクロ環境、つまり自社のいる業界の環境は経営の方向性に直接的に影響を与えます。5フォースモデルは業界の競争要因を「既存業者間の競争」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つの要素に分類して分析するためのフレームワークです。
5フォースモデルの5つの項目
既存業者間の競争
同一市場に競合の数が多い、同じような規模の会社が多い業界、あるいは商品・サービスの差別化をしにくい業界は圧倒的な強者が生まれにくいため、既存業者間の競争が激しくなり、価格競争に陥りやすくなります。
クリエイターの業界は上記の特徴に該当しますので、同業他社との競争を回避するため、あるいは競争に勝つために、同業他社との差別化を図っていく必要があります。
新規参入の脅威
市場に魅力があり、参入障壁が低い場合には、必然的に新たに参入しようとする企業が多くなるため、競争が激しくなります。
クリエイターの業界は他の設備産業と比較して資本が少なくてすみ、許認可も不要です。したがって参入障壁が低く、競争が激しくなりやすい構造と言えるでしょう。
代替品の脅威
既存の技術やサービスに代わる新しい製品・サービスが登場したら、それらに取って代わられるために既存の市場が縮小してしまいます。例えば、携帯電話にカメラが搭載されて以来、デジカメの市場がどんどん小さくなっているというのはイメージしやすいのではないでしょうか。
進化のスピードの速いWeb業界は、他のクリエイターの業界よりも代替品の脅威にさらされやすいでしょう。
売り手の交渉力
原材料や部品などを提供する業者の力が強いと、価格を上げたり、供給量を制限したりして、さらに利益を上げようとします。そうなると収益性が低下します。
クリエイターは原材料を購入して加工して販売するというケースは少ないので、あまり関係ないかもしれません。
買い手の交渉力
買い手(顧客)の数が少ない、今までとは異なる業者に切り替えるためのコストが低い、あるいは買い手が価格に敏感だと、クリエイターよりも買い手の方が強くなります。要するに「あなたに頼まなくても、もっと安くやってくれる業者はいくらでもいるので」という状態です。その結果、収益性が低下します。
これを避けるためには、クリエイター側も差別化するなどして、他には頼みたくない、今さら他には頼めないというような、価格交渉をされにくい状態にする必要があります。
理解度Check
以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?
コモディティ化した商品・サービスを提供する業界は、顧客に取って選択肢が増えるため、収益性が低下する。
- ○正解
- 品質に関して差がないのであれば、価格によって選択するプライオリティが高くなります。既存業者間の競争激化と買い手の交渉力が高まることによって、収益性が低下します。